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安室奈美恵『Finally』(17.11.08)

Finally

 これで最後、と思い定めたとき。あなたはは、どれほどの実際には後悔で、この仕事を見限ったのだろうか、と、内心そう思う、とは、最初に書いておきます。歌が好き、というよりは、歌手が好きだったんだろうなあ、と。コンサートだけの活動にしたいぐらいだったんだろうなあ、と。そこを、強く想像しています。辛辣な言い方かもしれませんが、少しアベレージの低めな、彼女らしい、ライトな曲ばかりの、彼女らしいベストアルバムです。いい歌手でした。そうして、少し、アベレージの低い、時代律でした。けれども、あなたが、生きて、歩いて、渡った、この25年間という季節は、日本にとって、どれほどの、あなたという、清潔な存在がくれた、ギフトだっただろうか、と、涙を拭って、書いておきます。 

 初期の頃の、小室哲哉さんのプロデュースしてくれた、小室さんの風情と、少し違った、前向きな、人生の影を歌ったような楽曲群と、自分で考え、組み立て、取り組み、作っていった、ディスク2と3の楽曲群で、やっぱり、少し減算が見られるんですよね。けれど、それにしても、あなたらしい、美しい減算で、精一杯取り組み、前向きに、情熱を持って、ヒップホップの日本語のバージョンのやつを、作ってみたのか気づけます。けれど、本当に、奈美恵さんのパターンの音楽は、そこが相性が悪くて、要するに、歌手としてのパターンが、あんまりよくないパターンだったんだね。

 日本語は、どうしても、そういうところがあります。英語の楽曲も入っていたし、情熱的に取り組んできたキャリアだったんだろうけれど、パターンの限界で、辞めなければならなかったんだろうなあ、というのが、あたしの訓戒です。うん、悔しいだろうね。悔しい。あたしも悔しい。あたしと、同い年の、素晴らしい歌手の、奈美恵さんが、あたしたちは、今、若々しく、美しいのに、辞めていくなんて、悲しくて、悲しくて、去らないでほしいと、あたしだって書きたいです。けれど、これからのすべからずすべてのために、辞めて、去っていくんですね。いつまでも、いつまでも、このベストアルバムには、あなたが、どれだけ、すみっこの方の、清楚すぎる姿が、あまりにも似合いすぎる、優しく、おぼこく、そうして、優等生なだけなのかがわかるという、52曲が納められています。いつまでも、いつまでも、あなたを思いながら、誰もが、自分の日々を、生きていかなければ、ならないのです。