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アイアムゴッドチャーイル。

REQUIEM AND SILENCE【初回限定盤】

 歌詞に<腐敗>と書いてあると、なんかセンセーショナルで、そこがいいのか、悪いのか、みたいな話に、当時なっていたな、とちょっと思い返します。20日が、ベストアルバムのリリース日です、鬼束ちひろさんの、話をしますね。

 あたしは、全然良い歌詞だなあ、と、思っただけでしたね。まあ他のパターンの気持ちは、わかるけど。でも、良いなあ、と、それにしても思います。

 活動20年。良いことも、悪いことも、ありました。でも、20年も歌を歌い、活動し、こんな立派なベストアルバムを、リリースできたりする。レコード会社の枠も越えて。それは、すごい、と、あたしは書きますし、いつ聞いても、本当にクオリティの高い、楽曲ばかりを、聞かせてもらってきて、率直に嬉しいし、そんなところを、とにかく、尊敬しています。プロの作曲。すごいです。

 一応、楽しみに思いながら、基本的な曲順で、13曲並べて聞いてみました(気が急きすぎですね)。普通に、普遍的に、嬉しいなあ、と思いながら、聞いてきた、曲たちが、思い出深くもあり、時間帯も幾度も変わり。自分の秤にかけながら、楽しいなあ、とか。嬉しいなあ、とか。泣いてしまうなあ、とか。いくつも、幾度も、繰り返してきた、この彼女の曲を聞く、いや、戯れるというか(すごいだろ)。これを、これからも繰り返していくというのが、不惑を越えたあたしにとって。すごいこれからも続けていきたい、ギフトだなあ、と、思えて、あたしの心として、変えがたいです。ので、続けてくださいね(笑)。

 さまざまな、角度で、さまざまな、知らないでもない、いろいろなことを考えながら、でも、充実し、楽しく暮らしていくのが、嬉しいのであり、そうありたく、また、それを伴奏してくれる、クレッシェンド、それが、あなただなあ、と、ちひろさん、心から、そう思っていますよ。愛しています。誰がなんかあっても。

 いつも、応援してきました。20年、まんま、ありがとう、と。大体書けます。美しい歌を、その頼もしい姿勢と、可憐なビートで、あまり饒舌でなく、沈黙を保ちながら、続けてこられた、サイレンス、という言葉が、あまりにもぴったりだという。その人生に、尊敬と、愛を、捧げます。

 サイレンス。そうですね、九州の出身ですが、今、雨に祟られやすい、故郷をどう思っていらっしゃるでしょうか。レクイエム、とは、鎮魂歌、死者に捧げられた曲のことですが、いつだって、最後のシーン、逢うことのない人へ、ありがとう、と。そうして、自分であることしか、できなくてごめんなさい、と。思っていらっしゃる、と思います。そうですね、できるようになったこと、できなくなったこと。高校時代の、もし、それが、ロックスターであれば、どうだっただろうか、という訓戒の話を。もし、あなたがギターが達者であれば、どうであったで、あろうか、と。

 しっかりしすぎるぐらいに、しっかりしている。でも、それは良いところだと、思います。そうだね、人は、矛盾なく、黙るしかない生き物です。饒舌になれたら嬉しいのに。ですが、少しでも、前のめりに、できるだけ、伝えたい、と、あたしは、ムリムリ、この文章を書いています。すこしでも、伝えたいのです。

 鬼束ちひろさんは、あたしより3つ年少の、今年40歳になる、素晴らしい、おおいなる心を抱いた、女傑です。一度、お会いしたことがあります。握手会で、握手をしてもらった、その日の、若い頃のあたしを、忘れるはずもありませんね。

 可愛い。その日の感想でした。あたしは、あなたの、美しい姿と、あたたかな、全身からに滲みでる、ありがとう、という気持ちに、ぐっと来ました。あれから、いつも、味方でいようと、決めました。何年も、続けてきました。17年です。

 人間は、生きていれば、いつも距離に翻弄される、生き物です。遠くへ来てしまいました。そうして、いつ振り向いても、あの日いた、あたしが、ところどころないのです。さらには、かけがえのない彼が、もうあの場所にないのです。そうして、共に歩いてくれている、今のパートナーが、あるのです。そのことも、踏まえて。

 彼女、ちひろさんの主題は、最近は、誰かのための物語です。