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シェリル、アヴリルを語る

 今日はアヴリル・ラヴィーンを語ります。まず、今回一番感激したのが、「ダム・ブロンド」ですね、そうかあ、金髪にブリーチすることの凄みが、わからないかたもいるんだなあ、と、そんなこと気づいていない自分は、ジパングの民だなあ、と(笑)。思いました。

 違うか。いや、でも自分で、自分を定義づける、というのは、特に欧米においては、表現活動をして生きていく為には、大事なことで。彼女が、スターダムに上がる直前ぐらいにね、あたしはブロンドにしよう、カラコンも入れよう、とか思ったんだろうから(違うんかな)、それはそう。なんか、理由もあるんでしょうね。男みたいに、自分ひとりで生きていくには、どうかなあ、と思ったんだと思うよ。

 思うけどさ。それにしても、女一匹の風情の似合う、子供もいないんだよね、素敵な人だね。うーん、なんかあえて、そういうヤモメな道をさ、目指して不自由している感もあります。

 後はさ、まずその刺青よね。天秤座だから、とか、音楽が好きだから、とかなんだろうね。やたらシンプルな箇所がありますね(笑)。面白いよね。こんなんアクセサリーだけのほうがいいんちゃうの、と、あたしは、精密には思うけど。これジャラジャラつけるより可愛いからなんかい。違うやろな(笑)。なんかどこで遭難しても自分とわかってほしいというか(笑)。

 辛気くさい話だけどさ。ありそうよね。こう書いておくと、逆に遭難しないだろうから、言葉の力は使っておきます。

 さっきレビューでも、書いたんだけど、これは、宇多田ヒカルが作った、なんか微妙には外している感もあった(当時)、2002年発売の、ラヴィーンがデビューした頃の『DEEP RIVER』に見えます。全体的にも無関係じゃないのかもしれない。特にジャケットがそっくり(パクリとは違うんやに)。あれは、紀里谷和明が、ヒカルを綺麗に撮影した、というものなんだけど、このラヴィーンのは、水辺、掲げたギター(壊れそう)、きっと全裸、という凄いもので、もうちょっとカナダ人の彼女の、ちょっとアメリカが遠い価値観が、めいっぱい表現された、美しいものだったりします。

 けなしているように見えるかもしれない(号泣)。

 あたしの中では、そんなことない、すーごく褒めています!!!!

 そうそう、「ダム・ブロンド」の話ね。誰かが、誰かを理解しているという話。最近ね、結構あたしも感じていたりします。神の観念のように思える。何がって、人間の愛よね(笑)。尊敬が溢れる愛情は、時に神の観念に思えますよ。

 素敵だ。

 今回ね、ラヴィーンが、特に気をつけたのが、自分の素の状態。例えば、メロディラインの手癖であるとか、はたまた、少し、カナダとアメリカで英語の語彙が違うから、まんまアメリカの、ショービジネス型の(あたしの中ではラスベガス型と呼ばれる)、音楽の歌詞が、書きにくいみたいで、ちょっとあっさりした単文節になりがちなところがあってね。もう、あたしのイメージ上は、スクールの英語の教科書握りしめて(笑)、書いたりしたんじゃないの、というのが、前回の自分の名前がタイトルになっていた5枚目のときは、そうだったんだけど。

 そこをね、もっと深く踏まえて、人にもうちょっと、コツが付くように、教えを乞い。で、死ぬ、とか、生きる、とか。痛い、とか、報われたい。とかを書いたものだろう、と推測されます。

 いい楽曲が作りたいから、だけでなしにね、自分で、この後、ひとりでも、こういう深みある、いいオルタナティブな音楽を作っていけるように、と。そういう意味で、素直にめっちゃ助けてもらいながら、も。書いていった、素晴らしい楽曲たちは、まず、キラキラしていますね!

 それが、凄い。一番良い所かもしれませんね。音楽は素敵だ。あなた、アヴリルの、素晴らしい所は、その生命力の、煌きです。いい、音楽として、メロディラインの、跳ね方が、素晴らしい。一番最初からそうでしたね。

 懐かしい、出会いの頃を、思い出します。で、そのいい煌きを、もっと普遍的なコパーンへ、編纂する作業を、今作、6曲めからは、されていますね。それが素晴らしいこと。もっと良く。もっといい感じに。そういう発想は、大切です。けど、なかなかわかって実行できることは少ないこと。

 それに気づくのがまず偉い(笑)。そういう意味です。ストリングスも綺麗ですね。先行シングル、アルバムと同じタイトルですが、が、あんまりキラキラしていて、跳ねが素晴らしいし、音も素晴らしいし。なんと言っても、歌、良くしたね。偉いなー。こんなに歌が充実している歌手も、少ないですよ。コードも、バリエーション模索したね。かっこいいよ。絶対ベタ誉めしか、今回あたしはしないですね(爆笑)。

 それは一番好ましいこと。後ね、曲もアルバムも、短くすることに、こだわったね。ビートルズみたいだ(そうでしょ?)。曲はさ、そりゃミスチルだったら長い方がいいけど(短いともったいない・笑)。アヴの中では、短くて、綺麗な旋律線で、で、ぎゅっと密度が濃くて、もうこれでお腹いっぱい(本当に割と短いんだけど)というのが、良いんだろうね。短くてもこのアルバムの味は濃く、もったいなくなく、感激に満ちている。正直、最初聞いたとき「やっぱしちょっち短くないかな」と思いそうだったんだけど、「違うな」と嬉しく聞ききったのよ。で、「ずっと聞いていくんだから、これぐらいで美味しいのが一番美味しいんだ、彼女の中では」という。短くても良いものは良い。これを、びびりながら聞いたんだよね。

 いいなあ。アヴはさ、本当に、しっかりしたオンナになりたいんだね。最初は、トラディショナルがしたかったんだよね。それが、契約するときに、まあちょっと本意ではなかったんだろうけど、グラムアイドル型になったのね。

 で、それをね、悔やまず、前向きに進んできたんだよね、アヴ。そんで、そのうち、この頃まで来たら、オルタナティブないい本物! と誰でも思ってくれる、実力のあるタイプに変わってきたんだよね。努力の結晶だね。歩けば道は拓ける。ある話だ。でも、まだ夢半ば。これからも頑張ろう、という努力の滲む、とっても良い6枚目です。

 みなさま、聞きやすい、革命的な(そういう風には聞こえないだろうけど)、作品です。ぜひ聞いてみてね(笑)。